2008年10月25日 (土)

海堂流ダブルキャリアの掟

最後に、海堂流ダブルキャリアの掟を考えてみよう。
 まず挙げられるのは、「好きなことを2つ目のキャリアにしていること」だ。書くことは遊びだ、ときっぱり言う。だからこそ何があっても続けられる。書きたいことがあるから書く、書きたくなくなったら、躊躇せず、筆を措くという姿勢は書き手としてまことに理想的である。
 ふたつ目に「ひとつ目の仕事と2つ目の仕事が関連していること」を挙げたい。海堂氏の作品は医療系の社会派ミステリーと言える。いくらミステリーでも鉄道トリックを使うような内容ではない。ひとつ目のキャリアとふたつ目が無関係ではないのだ。そこに強さがある。インタビューではその辺りはやんわりと否定されたが、ミステリーという形で、本業の危機、つまり医療崩壊の実情を社会に訴えたい、という強い気持ちがあるのではないか。
 最後の掟は「欲を抱くな」である。欲とは主に、ふたつの目のキャリアにおける「お金」と、ひとつ目のキャリアにおける「出世」だろう。
 ダブルキャリア(副業)は「お金ありき」ではうまくいかないのはよくわかる。一方で、お金が得られないと面白くないし、緊張感もない。ただのボランティアで終わってしまう。結果的に、ある程度のお金が得られるということは必須だろう。といっても、海堂氏の場合、お金に執着しない性格であるのはインタビューをしていて、よくわかった。
 最初のキャリア(本業)での出世は求めないが、任せられた仕事はきちんとまっとうし、同僚に迷惑はかけない。その辺、病理医という、極めてニッチな専門職にあったことが今の海堂氏のダブルキャリアの下支えになっているのだ。
 蟹は甲羅に似せて穴を掘る、という。海堂氏は自分の甲羅がよくわかっていて、それに合わせて穴を掘った。もしくは掘るに足る穴を見つけた。この場合の穴とは仕事自体も含む職場環境である。ダブルキャリアをやりたい人は、自分の甲羅に似せた穴を見つけるところから始めるといいかもしれない。

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よしたに氏

ダブルキャリアは誰でもできることではない。本業にエネルギーを取られ、毎日へとへとで帰宅するのであれば、もうひとつのキャリアを追いかける余力は生まれない。一方で本業に比較的、時間の余裕があったとしても、余暇を犠牲にしてまで追求したい何か、がなければ、仕事以外の時間は骨休めと単なる暇つぶしに終わってしまう。
 その点、よしたに氏の場合は違った。SEという激務の合間を縫って、自分がやりたかった夢を実現している。よしたに流ダブルキャリアの掟を考えてみよう。
 まずは「本業と副業を隣接させよ」ということだ。SEの仕事と生身の自分の生活がそのまま漫画のネタになるのだから、テーマは尽きないはずである。もちろん、何をどう切り取るか、については、大きな産みの苦しみがあるはずだということを急いで付け加えておく。
 ちなみに、『ぼく、オタリーマン。』第3巻の裏見返しには、今から約10年後、40歳を目前に脱サラし、農協で知合って結婚した妻と一緒に、鍬を片手に農業にいそしむオタリーマンの姿が描かれている。オタリーマンの次はオタファーマー(農民)だろうか。
 二つ目の掟は「仕事を省力化するツールを使え」。よしたに氏は、パソコンとネットをダブルキャリアの最大の武器にしている。詳細は連載第2回で触れられているが、よしたに氏の絵描きデビューは、ネットの隆盛なくしては語れない。ネットが作品の展示場であり、広告スペースであり、さらに言えば、オタリーマン産みの親の編集者との出会いを仲介してくれたのもネットだった。
 漫画やイラスト制作といった実働も、パソコンを頼りにしている。手描きのため、一日1、2枚しか仕上げられないプロの漫画家がいる中で、現在の氏は7、8枚も量産できるというから大したものだ。しかも、最近は「絵の緻密さに必ずしも拘らなくても勝負できる」ということがわかってきた。別の言葉で言えば、手の抜き方がわかってきた、ということである。こうした認識は、時間がどうしても限られてしまうダブルキャリアをうまく廻すには不可欠だろう。「力を抜くところを見極めよ」。これが3つ目の掟である。
 最後の掟は「会社では、ダブルキャリアの気配を消せ」。よしたに氏が現在の会社に入ったのは半ば偶然だったが、結果的にダブルキャリアに寛容な会社のようである。
 といっても、周囲にダブルキャリアをやっている人は数少ないそうだから、特別な会社ということではなく、よしたに氏の処し方がうまいので、会社も咎められない、ということなのだろう。自分から漫画や本のことは口に出さない、仕事上の固有名詞は絶対、作品中に登場させない、というルールを課している点は立派である。
 よしたに氏の活躍を知り、「組織にいろんな人がいることはいいことだ」と発言したという社長に、ぜひ話を聞いてみたいものだ。ダブルキャリアは組織のダイバシティを計る目安にもなり得る。

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ダブルキャリアを目指す

小山さんのハック・シリーズの最新刊、『STUDY HACKS!』(東洋経済新報社)には、まさに「ダブルキャリアを目指す」という項がある。本業で万が一のことがあった場合、いつでも乗り換えられる=キャリアのセーフティネット、という位置づけだ。
 そして、「副業に力が入ると、本業がおろそかになる」という、よく言われる批判に対して、以下の3点を挙げ、反論する。
 ひとつは、2つ目のキャリアで身につけたノウハウが本業にフィードバックできること、ふたつ目の理由は、2つ目のキャリア(仕事)がセーフティネットになり、本業で大胆な冒険ができること、3つ目がひとつのキャリアだけをこなしていると陥りがちな閉塞感の打破につながること、とある。どれも納得できる理由である。
 小山さんにとって、ダブルキャリアどころかマルチキャリアの実現がなぜ可能なのか、以下、3つの“掟”を指摘してみたい。
 ひとつ目は、見てきたように、ハック=仕事の効率化・高速化・高質化のためのノウハウを自ら編み出し、実践していることである。それなくしては、新規事業開発のプロデューサー、プロフェッショナルコーチ、著作家と、異分野で活躍する日々を乗り切ることはできなかっただろうし、今後もできないだろう。
 その集大成が本になり、本が売れたおかげで、私の勝手なネーミングだが、「ハック研究家」という新たなキャリアが加わった。
 ふたつ目は、哲学の素養である。哲学はおおまかに、認識論、存在論、人生論の3つに分けられる。お話を伺った限りでいうと、小山さんは特に認識論に関心が深いように思われた。認識論とは物の見方である。小山さんは特に、「脱構築(破壊のための破壊ではなく、生産的、建設的な破壊。日本語の換骨奪胎に近い)」という概念を唱えた、フランスの哲学者、ジャック・デリダから多くを得た、と話していた。
 【第3回】で、「個々の仕事を、その都度別の言葉で言い換える」ことがダブルキャリアのイメージと述べていたが、これこそキャリアの換骨奪胎、つまり脱構築といえるのではないだろうか。小山さんの言葉を、「キャリアの脱構築から、もうひとつのキャリアが見えてくる」と言い換えてみたい。
 小山さんが昨年9月に出した『[超]WORK HACKS!』(アスコム)に、「結論はできるだけ先延ばしにする」という項目がある。優秀な経営者ほど朝令暮改をいとわず決定を覆す、イチロー選手のバットは細かに揺れ動きながら、最適なヒッティングポイントを求めて直前まで「ためらって」いる、といった例を引きながら、何が正解、何が不正解という予測が難しい時代に、安易に結論を出してしまう愚を指摘、物事をなるべく決めつけない、柔軟性の大切さを説くのである。
 ダブルキャリアとは、キャリアをひとつに決めず、可能性に対して、自分をいつも空けておくことだ。キャリアを先伸ばしにする姿勢といってもいい。小山さんも自分が歌舞伎や芸能関係の新規事業開発の担当者になるとは広告代理店で働いていた頃は決して想像できなかっただろう。よって、「先伸ばし」を小山流ダブルキャリア、3つ目の掟としたい。

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卒業する時期とは


小山 人に任せるということ、手放すということです。そのためには、方法にフォーカスして法則化し、それを人と共有して伝えていくということ。大切なのはトライ・アンド・エラー、いろんなことを試してみるということ。やってみないとわからないですから。それで失敗から学んでいくということです。
── 今後の小山さんのご予定は。
小山 大学の非常勤講師とか、アカデミックな分野で誰かに何かを教えることをやりたい。現場でビジネスやっている人が、学校で教えるのは大変重要なことですが、日本ではあまり例がない。それをぜひ日本でも根付かせたいと思っています。

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適切な判断

適切な判断を下すためには、自分ができなければいけない。しかも、判断の中にいろんな知恵が詰まっているわけですよね。
小山 そうですね。うまい判断ができるようになるには、多様な経験を積むことと、そこから学んだことを法則化しておくことが必要です。まさにハックです。経験を積むだけだと、成功体験に引きずられてしまうので、失敗しやすいんです。
 そうではなくて、経験を疑ってかかる。さらに経験から方法を取り出して法則化する。しかも僕は現代アートが好きなので、今までの経験を割と疑うことが楽しい。天邪鬼なんです。この経験は実は失敗ではなかったか、と。だから過去の成功体験もうまく切り捨てて、「こういう新しいやり方のほうがいいんじゃないか」と冷静に考えられるのかもしれません。

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「ハック=仕事の技術

「ハック=仕事の技術」とすると、その分野の先駆者として、私は渡部昇一さんの『知的生活の方法』とか、立花隆さんの『「知」のソフトウェア』(ともに講談社現代新書)などを愛読していました。小山さんの評価はいかがでしょうか。
小山 どちらもいい本だと思いますが、博識を強調する部分に疑問も感じます。哲学の体系化をもくろんだヘーゲル的というんでしょうか。
── ヘーゲルは駄目ですか。
小山 いや、刊行当時はそれでよかったと思います。でも今はすべてを体系化しようとするヘーゲル的思考では物事をうまく捉えきれません。例えば、SNSの分野でミクシィが一人勝ちしていますが、かと言って、このまま安泰というわけでもなく、マイスペースやFace Bookなどの追随が出てきて激しく追い上げています。これを、歴史の発展原則を唱えたヘーゲルみたいに、「次はマイスペースが勝ちます」とは言えないでしょう。またこれから、どんな新しいコミュニケーションツールがでてくるかも予測できません。そんななかで、「世界を体系化して捉えよう」という試みは、成功しにくい。

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ダブルキャリア

ダブルキャリアとは、「複数の仕事をかけ持ちし、多忙だけれども、充実した職業生活を送る」ことを指す言葉である。広い意味でいえば「副業」ということだが、お金儲けがその筆頭動機ではないという点で、あえて「キャリア」という言葉を使っている。この連載では、スーパーなダブルキャリア人たちを取材し、その仕事ぶりを伺っていく。
 第5回目は、日本のビジネス社会に、「ハック=仕事のコツ」ブームを巻き起こした小山龍介氏にご登場いただいた。

 小山氏は、松竹のプロデューサー兼子会社である松竹芸能の事業開発室長でありながら、本を書き、コーチング事業も手がけ、各種セミナーやワークショップも主宰するなど、ダブルキャリアどころかマルチキャリアの人である。
 ダブルキャリアに多忙はつきものである、日々、時間との闘いといってもいいだろう。多くの実践者にとって、「ハック=すぐに役立つ仕事のコツ」は強力な援軍となる。小山さんのハック本はダブルキャリア人必読の文献でもある。
 

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2008年9月23日 (火)

不動産コンサルティング技能登録制度

不動産コンサルティング技能試験・登録事業は、

(財)不動産流通近代化センター(以下「センター」という。)が

国土交通大臣の登録を受けて実施する登録・証明事業です。

有効な「不動産コンサルティング技能登録証」の交付を受けた方は、

「不動産特定共同事業法」における「業務管理者」となるための資格

及び「不動産投資顧問業登録規程」における

一般不動産投資顧問業の登録申請者及び

「重要な使用人」が投資助言業務を公正かつ的確に遂行できる知識

についての審査基準を満たす資格を有することとなります。

平成20年度 不動産コンサルティング技能試験 実施概要

受験申込受付期間 平成20年8月1日(金)~8月29日(金)
受験申込受付は終了しております。
試験料 30,000円(消費税含む)
受験申込書 (申込書類請求は終了しております)
試験実施日 平成20年11月9日(日)
択一式試験(午前)及び記述式試験(午後)
試験地 札幌・仙台・東京・金沢・名古屋・大阪・広島・高松・福岡の9地区
合格発表 平成21年1月13日(火)
合格者には合格証明書を送付します。

不動産投資情報:続企業の前提に関する重要な疑義


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2008年9月22日 (月)

はじめまして

不動産コンサルタントのブログです。

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