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2008年10月25日 (土)

ダブルキャリアを目指す

小山さんのハック・シリーズの最新刊、『STUDY HACKS!』(東洋経済新報社)には、まさに「ダブルキャリアを目指す」という項がある。本業で万が一のことがあった場合、いつでも乗り換えられる=キャリアのセーフティネット、という位置づけだ。
 そして、「副業に力が入ると、本業がおろそかになる」という、よく言われる批判に対して、以下の3点を挙げ、反論する。
 ひとつは、2つ目のキャリアで身につけたノウハウが本業にフィードバックできること、ふたつ目の理由は、2つ目のキャリア(仕事)がセーフティネットになり、本業で大胆な冒険ができること、3つ目がひとつのキャリアだけをこなしていると陥りがちな閉塞感の打破につながること、とある。どれも納得できる理由である。
 小山さんにとって、ダブルキャリアどころかマルチキャリアの実現がなぜ可能なのか、以下、3つの“掟”を指摘してみたい。
 ひとつ目は、見てきたように、ハック=仕事の効率化・高速化・高質化のためのノウハウを自ら編み出し、実践していることである。それなくしては、新規事業開発のプロデューサー、プロフェッショナルコーチ、著作家と、異分野で活躍する日々を乗り切ることはできなかっただろうし、今後もできないだろう。
 その集大成が本になり、本が売れたおかげで、私の勝手なネーミングだが、「ハック研究家」という新たなキャリアが加わった。
 ふたつ目は、哲学の素養である。哲学はおおまかに、認識論、存在論、人生論の3つに分けられる。お話を伺った限りでいうと、小山さんは特に認識論に関心が深いように思われた。認識論とは物の見方である。小山さんは特に、「脱構築(破壊のための破壊ではなく、生産的、建設的な破壊。日本語の換骨奪胎に近い)」という概念を唱えた、フランスの哲学者、ジャック・デリダから多くを得た、と話していた。
 【第3回】で、「個々の仕事を、その都度別の言葉で言い換える」ことがダブルキャリアのイメージと述べていたが、これこそキャリアの換骨奪胎、つまり脱構築といえるのではないだろうか。小山さんの言葉を、「キャリアの脱構築から、もうひとつのキャリアが見えてくる」と言い換えてみたい。
 小山さんが昨年9月に出した『[超]WORK HACKS!』(アスコム)に、「結論はできるだけ先延ばしにする」という項目がある。優秀な経営者ほど朝令暮改をいとわず決定を覆す、イチロー選手のバットは細かに揺れ動きながら、最適なヒッティングポイントを求めて直前まで「ためらって」いる、といった例を引きながら、何が正解、何が不正解という予測が難しい時代に、安易に結論を出してしまう愚を指摘、物事をなるべく決めつけない、柔軟性の大切さを説くのである。
 ダブルキャリアとは、キャリアをひとつに決めず、可能性に対して、自分をいつも空けておくことだ。キャリアを先伸ばしにする姿勢といってもいい。小山さんも自分が歌舞伎や芸能関係の新規事業開発の担当者になるとは広告代理店で働いていた頃は決して想像できなかっただろう。よって、「先伸ばし」を小山流ダブルキャリア、3つ目の掟としたい。

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